ステンレスとは、【Stain=しみ・汚れ + Less=少ない】という意味で、錆びにくい鋼です。
1.ステンレス鋼一覧
ステンレスにはその成分によって大きく2つの種類に分かれ
組織的には3つに分かれてています。
Cr系 | Cr マルテンサイト系 | SUS4xx | 431,403,410,420,440....... |
---|---|---|---|
Cr系 | 18Cr フェライト系 | SUS4xx | 430,405........ |
Cr-Ni系 | 18-8 オーステナイト系 | SUS3xx SUS2xx | 304,304L,316.316L..... |
「ねじ」にもっとも多く利用されるのはオーステナイト系 でSUSのあと、頭が 3 で始まる鋼種
【SUS303】【SUS304】などが該当します。
ただ最近では加工性を向上させるため、実際には以下の材質が主に使用されています。
- 小ねじ類:線材SUS304相当の冷間圧造用鋼種線材【SUS- XM 7】 が多く利用されます。
- キャップ、ボタンキャップ類:【SUS- XM 7】へ移行しています。
- タッピング類:主に焼きいれのできて硬い【SUS410】が利用されます。
一部のボルト、ナット、寸切ではSUS304の利用があります。
ステンレスの鋼種にはアメリカのAISIの記号ナンバーにあわせて3桁の数字で表すことになっています。日本独特の鋼種にはj1、j2などの連番がつきます。
この他析出硬化系(PHタイプ)【SUS6xx】、耐熱鋼板(SUH)、5%Cr系【 SUS5xx】 などがあります。
ステンレス鋼の特性
- オーステナイト系ステンレス(SUS304・SUS304J3・SUSXM-7・SUS310S・SUS316L・SUS317Lなど)
- 一般には18-8ステンレスとも呼ばれます。
加工性:冷間加工だけで硬化し、熱処理では軟化します。(過熱注意約400℃以上結晶の細粒化ができません)
※SUS304の場合600以上で粒界腐食が起きやすいです
磁性 :冷間加工で微弱な磁性及び高弾性を有し、熱処理状態で非磁性です。
耐食性:耐食性・耐酸性は、固溶化熱処理が最良の状態です
靭性 :靭性が非常に大きく、かつ低温でもマルテンサイト系やフェライト系と比較しあまり低下しません。 - マルテンサイト系ステンレス(SUS403・SUS410・SUS416・SUS431など)
- 加工性:普通の鋼と同様に、高温から空冷急冷で硬化します。(焼入れ硬化 大)
それを適当な温度で焼き戻しすることで広範囲な硬さ、強度、属延性及び靭性を得ます
溶接は、焼き割れを生じやすいです。(変態ひずみと焼き入れ硬化性があるため)
強く、硬いので410はタッピングなどに利用されています。
耐食性:耐食性では他の系列のステンレスに劣ります。
磁性 :常温で磁性を持っています。
耐酸性:常温において強い耐食性があります。※硫酸、塩酸(還元性):腐食します
低温性:マイナス50度くらいまで
- フェライト系ステンレス(SUS405・SUS430・SUS434・SUS444など)
- 加工性:冷間加工は極めて安易で若干強度も高まります。
冷間加工で若干硬化しますが、高温焼き入れ(熱処理して急冷)しても硬化せず、結晶を細粒化できません
※機械的強度や硬さは重要視されません。
※470度付近で長時間使用した場合もろくなります
磁性 :強磁性です。常温で磁性を有します。
耐食性:一般大気中、溶液中ではマツテンサイト系より優れるが還元性溶液には腐食します。
耐酸性:耐酸化性は、マルテンサイト系より上です。
低温性:マイナス20度位までは耐えますが低温は不適切です。 - 析出硬化系ステンレス(SUS630・SUS631など)
- 加工性:液体化処理後、時効硬化処理をして高硬度を得るステンレス鋼で、強さはステンレス鋼の中で最も高いです
18-8オーステナイト系程度の耐食性も兼ねます。
固溶化熱処理のままで比較的安易に切削可能で、比較的低い温度で時効析出を起こし硬化するので、熱歪に
よる変形はほとんど発生しません。
鍛造など、熱間加工ができ、SUS304系と同様に各種溶接も可能です。 - 2組合金、二相ステンレス(SUS329J1・SUS329J4Lなど)
- 耐食性:オーステナイト系・フェライト系ステンレスの二相組織よりなり、高強度耐食性に優れています。
オーステナイト系の弱点である応力腐食割れ性、耐孔食性、耐粒界腐食性に優れています。
【ねじ製品に使われる主なステンレス鋼種一覧表】
鋼種 | 主な成分 | 磁性 | 特徴 | 主な取り扱い |
---|---|---|---|---|
オーステナイト系 | ||||
SUS303 | 18Cr-8Ni-高S | 無し | ステンレスの快削鋼、切削加工向け SUS304に硫黄(S)を添加し、 被削性、対焼付性を向上 |
テーパーピン |
平行ピン
SUS304 | 18Cr-8Ni | 無し | 耐食性に優れ機械的性質も良好。 冷間加工によって硬化し、 磁性が発生することもある ステンレス鋼として幅広く使用されている材料 |
|
SUSXM7 | 18Cr-9Ni-3Cu | 無し | 冷間加工性の良くないSUS304にやわらかい 金属である銅(Cu)を添加して加工硬化性を 抑え、冷間加工しやすくしたもの。 耐食性や強度はSUS304と同等 |
|
SUS304J3 | 18Cr-8Ni-2Cu | 無し | SUS304に銅(Cu)を添加したSUS304とSUSXM-7との中間材料 六角ボルトやキャップスクリュー等の 冷間加工品に使われる |
|
SUS304L | 18Cr-9Ni-低C | 無し | 耐粒界腐食性に優れるSUS304の 炭素含有量を減らした極低炭素鋼。 |
|
SUS304N2 | 18Cr-8Ni-N-Nb | 無し | SUS304に窒素(N)とニオブ(Nb)を 添加し、延性の低下を抑えながら 強度を高めている |
ハイテンション ワッシャー |
SUU305J1 | 18Cr-13Ni | 無し | SUS304のNi量を増やし、冷間加工性を改善。SUS305の低炭素鋼で加工硬化性が低く、 冷間圧造用として用いられる |
|
SUS316 | 18Cr-12Ni-2Mo | 無し | SUS304に耐食性の良いモリブデン(Mo)を 添加。Niの増量によりSUS304より耐食性を よりよくしている |
|
SUS316L | 18Cr-12Ni-2Mo C(0.03%以下) |
無し | 固い金属を(Cr,Ni)多く含み加工しにくいSUS316の炭素の量を低くすることで柔らかくし、加工しやすくしたもの Lはローカーボンを示す |
|
SUS317L | 18-Cr-12Ni-3Mo-低C | 無し | 耐孔食性がSUS316より優れている 染色設備材料など特に耐食性を 求められる個所に最適 |
|
SUS321 | 18Cr-9Ni-Ti | 無し | SUS321には炭化物安定元素であるTiが添加されているので、溶接したまま使用でき、かつ450~850℃に加熱される用とに適します(熱交換器・蒸発器など) | |
SUS310S | 25Cr-20Ni | 非磁性 | 耐酸化性がSUS309Sより優れていて、耐熱鋼として使われることが多い 耐熱性、耐食性が優れている |
|
オーステナイト系 フェライト系 |
||||
SUS329J4L | 25Cr-6Ni-3Mo-N-低C | 有り | 二相組織(オーステナイト・フェライト) を持つステンレスで、耐酸性、 耐孔食性に優れ、強度も高く、 耐海水性もある |
|
マルテンサイト系 | ||||
SUS403 | 13Cr-低Si | 有り | タービンプレートなどに用いられルステンレス。耐熱鋼。 | |
SUS410 | 13Cr | 有り | マルテンサイト系で鉄87%と多く、 その中に含まれる炭素(C)も多いので 熱処理ができます。 焼入れを行うことで硬度を上げ、鉄板向けドリルビス、コーススレッドなど幅広く使用 |
|
SUS420J2 | 有り | 焼き入れ焼き戻しによって高強度、高硬度にでき機械部品に多く使われています。 | ||
ASL516 | 13Cr-Ni-M (ミラクルステンレス) |
有り | 合金元素適正添加(適正比率)と 熱処理の技術により、 SUS304並の耐食性と、 SUS410並の硬さを備えます。 |
サンコータイト |
YUS550 | パーフェクト ステンレス |
有り | 建材用高強度マルテンサイト系ステンSUS410 と同等以上の強度とじん性。 SUS304同等以上の耐食性がある |
|
フェライト系 | ||||
SUS430 | 17Cr-C (0.08%以下) |
有り | 耐食性の優れた鋼種で磁性があり、 業務用厨房、建築内装用、 家電部品などに使用。 耐食性はSUS304より劣りますが、 磁性があるので、ねじ等の締結時の 作業性向上に役立つ |
|
析出硬化系 | ||||
SUS630 | 17Cr-4Ni-4Cu-Nb | 有り | Cuの添加で析出硬化性をもたせた鋼種。 SUS304相当の耐食性とステンレス最高レベルの強度を兼ね備えている 析出硬化により強度が上がるので、 シャフト類、タービン類に用いられます。 |
高力六角ボルト 高力六角ナット |
※磁性無し:オーステナイト系ステンレスは、一般的には非磁性ですが加工などによって内部構造に変化が生じ磁性を帯びることがあります。ただし耐食性に変わりはありません。
【ステンレス鋼の鋼種区分~化学成分~】
鋼種分類 | 鋼種区分 | C | Si | Mn | P | S | Cr | Mo | Ni | Cu |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
オーステナイト系 | A1 A2 A3 A4 A5 |
0.12 0.10 0.08 0.08 0.08 |
1 1 1 1 1 |
6.5 2 2 2 2 |
0.2 0.05 0.045 0.045 0.045 |
0.15~ 0.03 0.03 0.03 0.03 |
16-19 15-20 17-19 16-18.5 16-18.5 |
0.7 - - 2-3 2-3 |
5-10 8-19 9-12 10-15 10.5-14 |
1.75-2.25 4 1 4 1 |
マルテンサイト系 | C1 C3 C4 |
0.09-0.15 0.17-0.25 0.08-0.15 |
1 1 1 |
1 1 1.5 |
0.05 0.04 0.06 |
0.03 0.03 0.15-0.35 |
11.5-14 16-18 12-14 |
- - 0.6 |
1 1.5-2.5 1 |
- - - |
フェライト系 | F1 | 0.12 | 1 | 1 | 0.04 | 0.03 | 15-18 | - | 1 | - |
2、歴史
インドのデリーの寺院にある3-4世紀に造られた鉄塔は、遙かな時を超えても表面に錆がないそうです。(最近は酸性雨の影響で危ういですが)他にもボンベイのWootz ウーツそれを加工した刀剣Damascusダマスカスなどの優れた性質をもつ鉄鋼が大昔から存在したそうです。それらの特殊鋼に興味をもち電磁誘導で有名なイギリスのファラデーやフランスのカルノーなどが19世紀に研究を始めました。
20世紀初期にはフランスのギレー、ドイツのモンナルツ、ボルシャーらにより製法の基盤が確立し、工業材料として利用されていきます。大砲の砲身類の内張りとして研究され、最初の製品は刃物類だったようです。
... 人類の技術は、必ず最先端の武器から発祥しているのですね
日本では、1919官営八幡製鉄所(新日本製鐵)が試作を始め、1933日本金属工業が13クロム、18-8ステンレス鋼板を量産化、陸軍の火薬工場硝酸製造装置に利用されたそうです。当時は「不金秀鋼(PCに漢字探せず金と秀あわせて一文字)」と呼ばれていたそうです。
1945 昭和20年ごろからは、軍需に代わり肥料工業界で利用され、その後、化学繊維工業、石油、天然ガスプラント利用され、昭和40年に日本は世界第一位のステンレス生産国となりました。
3.特性&性質
耐食性・耐酸性
ステンレスには、広範囲の環境条件下において不動態という基質に比べて科学的にきわめて安定な薄い皮膜が形成される能力があり腐食を防いでいます。
※鉄は鉄鉱石をコークスから得られる一酸化炭素COで還元してつくられます。
そして、大気中の水分や酸素と反応して錆びます。
2Fe+3H2O+3/2O2 →2Fe(OH)3[Fe2O3H2O(赤錆)]
ステンレス鋼は同じ鋼の仲間ですがクロムやニッケルなどを含むことにより不動態を形成して錆を防いでいます。ただし、強い酸やアルカリ液で温度が高いときは腐食します。ステンレスだから絶対に錆びない というわけではありません。特に日常の中では18-8ステンレスと呼ばれるものが多く利用されていますが、海水などの塩分による錆びの発生が多いようです。(SUS316は塩水にも強い鋼種になります)
髪止めの鉄のピンなどをステンレスの洗面台などに置きっぱなしにすると錆びたピンから「もらいサビ」することがあります。水により不動態の皮膜が遮蔽されるのも原因のひとつです。ステンレス製品は塩分や汚れを除いて表面を綺麗にしておくことが長持ちの基本ですね。
対候性
対候性はステンレスの大きな魅力のひとつです。
一般には18-8(304)が利用されますが、海の近くや工業地帯などの汚染大気には18-12Mo (SUS316)が利用されます。
チタンなどを配合してより対候性の良い鋼種も開発されているようです。
耐熱性
高温腐食によく耐え、高温強度も強いので耐熱用としても使用されています。
約400℃くらいまでの高温化でも強度が大幅に落ちることはありません。(約30%減)
焼き付き防止対策が必要
ステンレスは熱伝導率が低く(SUS304の場合:鉄の1/3)
熱膨張率が高い(SUS304の場合:鉄の1.5倍)
⇩
鉄と同じ程度の摩擦でも熱が発生しやすく、その熱による変形や歪みも大きくなります。
【焼き付き防止対策】
フッ素系樹脂(無色透明)を表面にコーティングすると ねじ部の摩擦が小さくなり、かじり防止となります。
【焼き付き(かじり)とは?】
ステンレスのボルトやナットを電動機などで締め付けると、ねじのはめ合い部で摩擦による熱が発生します。その熱によってねじ部が膨張し、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなる状態を「かじり(焼き付き)」と言います。 トルク(回転力)によっては、ボルトが折れることもあります。
4、機械的特性
- 引っ張り応力に対して どの程度強いかを示す引っ張り強さ、0.2%耐力
- 延性を示す伸び、絞り、曲げ
- 硬さ
- じん性を示す衝撃値
- 高温での強さを評価する引っ張りクリープ強さ、破断強さ
評価される機械的な性質はステンレスの種類と温度により違いがあります。
鋼種分類 | 鋼種区分 | 強度区分 | 引張強さ Rm 最小MPa |
永久伸び 0.2%耐力 Rpo.2 最小MPa |
破断後の伸び A 最小mm |
---|---|---|---|---|---|
オーステナイト系 | A1 A2 A3 A4 A5 |
50 70 80 |
500 700 800 |
210 450 600 |
0.6d 0.4d 0.3d |
鋼種分類 | 鋼種 区分 |
強 度 区分 |
引張強さ Rm 最小MPa |
永久伸び 0.2%耐力 Rpo.2 最小MPa |
破断後の伸び A 最小mm |
硬さ HBW |
硬さ HRC |
硬さ HV |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
マルテンサイト系 | C1 | 50 70 110 |
500 700 1100 |
210 410 820 |
0.2d 0.2d 0.2d |
147-209 209-314 - |
- 16-34 36-45 |
155-220 220-330 350-440 |
マルテンサイト系 | C3 | 80 | 800 | 640 | 0.2d | 228-323 |
21-35 |
240-340 |
マルテンサイト系 | C4 | 50 70 |
500 700 |
250 410 |
0.2d 0.2d |
147-209 209-314 |
- 16-34 |
155-220 220-330 |
フェライト系 | F1 | 45 60 |
450 600 |
250 410 |
0.2d 0.2d |
128-209 171-271 |
- - |
135-220 180-285 |
オーステナイト系鋼種区分の最小破壊トルク
ねじの呼び | 強度区分50 | 70 | 80 |
---|---|---|---|
M1.6 | 0.15 | 0.2 | 0.24 |
M2 | 0.3 | 0.4 | 0.48 |
M2.5 | 0.6 | 0.9 | 0.96 |
M3 | 1.1 | 1.6 | 1.8 |
M4 | 2.7 | 3.8 | 4.3 |
M5 | 5.5 | 7.8 | 8.8 |
M6 | 9.3 | 13 | 15 |
M8 | 23 | 32 | 37 |
M10 | 46 | 65 | 74 |
M12 | 80 | 110 | 130 |
M16 | 210 | 290 | 330 |
比較参考資料
材料 | 引張強さkgf/mm2 | 硬さHB |
---|---|---|
ステンレス鋼板SUS304 | 59 | 150 |
普通鋼版SPCC | 33 | 70 |
アルミニウム板1100-0 | 9.5 | 25 |
純チタン | 40 | 120 |
5、高温における機械的特性
各鋼種とも500度まではかなり高い引っ張り強さを示しますが、それ以上は強度の低下が著しくなります。
高温による引っ張り強さの推移
温度 | 18-8 | 炭素鋼 |
---|---|---|
100度 | 約85% | 約102% |
300 | 75 | 95 |
500 | 70 | 50 |
600 | 60 | 40 |
700 | 40 | 30 |
800 | 30 | 20 |
6、低温における機械的特性
18-8系は極低温においてもじん性の低下がきわめて少なく、シャルピー衝撃値も100~-200度で80~100ft-1bにあり、SUS304では-269度における引っ張り強さが150kgf/mm2を示し、伸びも30~40%と優れています。
7.加工、表面処理
ステンレスの主な表面仕上げ
名称 | 表面仕上げの状態 | 表面仕上げの方法 | 主な用途 |
---|---|---|---|
No.1 | 銀白色で光沢がない | 熱間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの | 表面光沢を必要としない用途に使用 |
No.2D | 灰色で光沢が少ない | 冷間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの | 一般用材、建材 |
No.2B | No.2D仕上げよりなめらかで、 やや光沢のある仕上げ |
No.2D材に鏡面に近いロールで軽く冷間圧延(スキンパス圧延という)をしたもの | 一般用材、建材(市販品の大部分はこの仕上げ品) |
BA | 圧延後の表面を引き継ぐが 一般に光沢のある表面仕上げ |
冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行ったもの、光沢を高めるため、スキンパス圧延をすることもある | 自動車部品、家電製品、厨房用品、装飾用 |
No.3 | 光沢のある、 粗い目の仕上げ |
P100~P120番のベルトで研磨したもの | 建材、厨房用品 |
No.4 | 光沢のある 細かい目の仕上げ |
P150~P180番のベルトで研磨したもの | 建材、厨房用品、車両、医療器具、食品設備 |
#240 | 細かい目の研磨仕上げ | P240番程度のベルトで研磨したもの | 厨房器具 |
#320 | #240よりさらに 細かい目の研磨仕上げ |
P320番程度のベルトで研磨したもの | 厨房器具 |
#400 | 鏡面に近い光沢、 若干のすじがある |
P400番バフによって研磨仕上げしたもの | 建材、厨房器具 |
HL(ヘアライン) | 長く連続した 研磨目を持った仕上げ |
通常P150~P240番の砥粒研磨ベルトで長い研磨目をつけたもの | 建材のもっとも一般的な仕上げ |
バイブレーション | 無方向性ヘアーライン研磨仕上げ | 多軸水平研磨により、無方向性のヘアーライン仕上げしたもの | 建材 |
No.7 | 硬度の反射率を持つ 準鏡面仕上げ (研磨目あり) |
P600番の回転バフにより研磨したもの | 建材、装飾 |
No.8(鏡面) | 鏡に近い仕上げ (研磨目なし) |
最終研磨は鏡面用バフによる | 建材、装飾、反射鏡 |
ダル | 2Dより目の粗い 艶消し仕上げ |
艶消しロールで圧延あるいはショットブラストして表面に細かい凸凹をつける | 建材 |
エンボス | 凸凹の浮出し模様 のついた仕上げ |
エッチングまたは機械的に模様を彫り込んだエンボス用ロールで圧延したもの | 建材、装飾 |
エッチング | 化学処理により模様 漬けられた仕上げ |
適当な意匠図案を耐酸性の被覆材で覆い、そのほかの部分を腐食液(塩化第2鉄溶液)で腐食溶解したもの | 美術品、建材、厨房器具 |
化学発色 | 数種の色調から得られ、密着性、耐摩擦性が良好 | 科学的に発色したもので、硫酸に無水クロム酸を加えた水溶液(80~90℃)に浸漬着色後、硬膜処理をほどこす | 建材、厨房用品 |
酸性黒色 | 数種の色調が得られるが、密着性、耐摩擦性は十分ではない | 硫酸に酸化剤を加えた水溶液(90~100℃)に浸漬する | 化学部品、美術品 |
酸化着色 | 数種の色調が得られるが、密着性、耐摩擦性は十分ではない | 硫酸に酸化剤を加えた水溶液(90~100℃)に浸漬する | 化学部品、美術品 |
塗装ステンレス | 数種の色調が得られ、加工コストが安い | 合成樹脂系塗料を焼付塗装する | 建材、厨房器具 |
オーステナイト系は伸び値が大きいため過酷な曲げ絞り加工を行っても割れにくいですが、フェライト系やマルテンサイト系は割れやすい性質があります。
切削加工には303などの快削ステンレス鋼を利用します。
一般のオーステナイト系は加工硬化が激しく、熱伝導が悪いので工具も摩耗しやすく扱いにくいものになります。
溶接加工では、オーステナイト系では普通鋼よりも熱膨張計数が50%大きく熱伝導率は半分以下ですので、工作物がひずんだり割れができたり内部残留応力が大きくなったりしますので、特性にあった溶接方法をとることが大切です。
また、オーステナイトの場合は、450~850度に長時間さらされると、ステンレスの中のクロムが炭素と結合し結晶内からでて、結晶粒の間にたまる性質があり、その部分のクロム量が減ると耐食性が劣化してしまいます。
耐食性を保つためには、不動態皮膜を保持することが大切で表面を綺麗にすることが必要です。
ステンレスの研磨には、ベルト、バレル、バフなどの機械による研磨と電解研磨が利用されています。
ステンレスへの電気メッキは、表面の不動態皮膜を除去する活性化という処理をして、すぐにメッキを施します。活性化処理は10~30%塩酸に浸ける方法と、20~50%硝酸を70度に加熱して浸ける方法があります。ステンレス表面に高温で金属または非金属を拡散浸透させる拡散メッキのアルミ拡散メッキは高温腐食にきわだった抵抗力をもちます。また、PVD(物理蒸着)CVD(化学蒸着)といった方法でも表面処理されるようになりました。
8、用途
ネジをはじめ、ありとあらゆるところに使われています。
目立つところでは、電車のステンレスカー、タンクローリー車、身近な所では腕時計のウラ蓋、フロや流し台、手すり、そして、病院の各器具や施設、工場のプラントや食品設備など
そして、焼き入れのできるマルテンサイト系では刃物、タービンプレード、シャフト、ノズル、ベアリング、タッピングやドリルビスの全体、または刃先に利用されています。
ステンレスを上手に使うポイントは 綺麗にしておくことです
サビを防ぐ不動態皮膜を造るためには、表面が綺麗で酸素が供給されていることが重要です。
仮に錆びてしまっても、その部分を細かい紙ヤスリ等で削って洗い流せば自身の力で復活させることが出来ます。
一般のボルトや小ねじ向けステンレスはXM7が利用されています。
これは鉄に18%のCr(クロム)と8%のNi(ニッケル)を加えて合金化したステンレス鋼(SUS304)にCu(銅)を少量加えて冷間加工性を向上させたステンレス鋼で耐食性はありますが、硬度、強度を熱処理により上げられないためタッピングには不利です。
タッピング向けに多く利用されるステンレス材料はSUS410になります。
SUS410は鉄に13%のクロムを合金化したもので、残り87%は鉄のためにC(炭素)が多く含まれ熱処理により表面の硬度とねじ自体の強度を持たせることができます。
ただし、鉄の成分が多いことから耐蝕性が悪くなってしまいますので錫メッキ等の表面処理をして利用されることがおおくなります。
そこで、より強い耐蝕性、強度などを狙い 新ステンレス鋼種の開発が進められています。
新ステンレス鋼種 ミラクルステンレス ミラクルステンレス製品
外部使用環境の錆びの発生しやすいところで、相手板材が硬い鉄板やステンレス鋼板などの場合はミラクルステンレス製タッピングをお勧めします。
9、高機能ステンレス
より強い耐蝕性、強度などを狙い、新ステンレス鋼種の開発が進められています。
- 1.PS-550 丸エム製作所製
- 2.エコシリーズ 第一工業㈱製
- 3.ASL516 ミラクルステンレス 日立金属㈱製
- 4.PS-550パーフェクトステンレス(より強さと耐食性を追求した新種のステンレス鋼)
- 5,SUS304CUN 高強度ステンレスファスナー A2オーステナイト・ステンレス・スティール
タッピングには従来マルテンサイト系のSUS410が利用されてきました。
硬さがあってオーステナイト系で一般に利用されるものより良いのですが、オーステナイト系(18-8系の304(XM7))に比べ耐食性で劣りました。
正確な表現ではありませんが、410は鉄の成分が普通のステンレスより多いので熱処理で硬くできてドリルねじの歯やタッピングには便利だが、その分錆びやすいと思っていただければわかりやすいでしょうか。このため410で製作されたタッピングやドリルビスなどではスズメッキなどの表面処理も施すことが多いと思います。
今回開発されたステンレス鋼 PS-550 パーフェクトステンレスは、強さと耐食性の両方を兼ね備えた夢の鋼材です。まだ、広く普及していませんが 今後 多くの場所で利用されていくと考えられます。
特長
410は表面硬度は高いが 心部は低いためタッピングの際に変形することがありますが、パーフェクトステンレスは芯部まで硬度があるので高い締結力を有します。
高耐食性
SUSXM7、304と同等以上の耐食性を示し、塩害、酸性雨などのSUS410では対応できなかった環境にも利用できます。ただし、SUS316には劣ります。
高じん性
一般にひっぱり強さや硬さの強い材料は、じん性がなく「もろい」性質を持つのが普通ですが、パーフェクトステンレスは高いじん性を持っていますので 頭とびなどが起き難くなっています。
★エコシリーズ 第一工業㈱製
強度区分10.9をクリアする高強度、高耐蝕ステンレスボルト
SUS304,316を基材とした強度区分10.9をクリアする高強度、高耐蝕ステンレスボルト
従来よりワンサイズ縮小したボルトで利用できることにより軽量化、省資源化
SUS304,316と電位差なし、非磁性、
カタログより抜粋
受注生産品
10、316と316L
高耐食性ステンレスとしてねじ材料にはSUS316が利用されてきましたが
現在ではSUS316Lが多く利用されています。
316Lは316の低炭素鋼です。非磁性で高耐食性を有するのも同じですが
規格上MAX強度が異なります。
成分で見ると316の炭素Cが 0.08%以下 SUS316LがC 0.03%以下になります。
ニッケルも多少異なり316が10~14%316Lが12~15%となり、成分的にはラップしている部分が多いです。
316と316Lを特に区別しない国もあるようです。
SUS316では生産していない品種もありますので注意してください。
●A2-70強度保障ボルト・ナットについて
現在、一般的に流通している六角ボルトのほとんどはJIS1180付属書JA規格になる為、A2-70の六角ボルトに関しましても付属書規格の製品が流通しています。
一部のボルトメーカーではJIS本体規格のA2-70強度保障ボルトを生産している為、弊社では本体規格のA2-70強度保障六角ボルトもご提供可能です。
製品ラインナップは付属書規格の方が充実していますのでお探しのサイズがあれば、是非一度ご相談ください。
A2-70強度保障六角ナットに関しては、1種のみは流通していますが、それ以外の2種や3種などはA2-70強度保障六角ナットはほとんど流通していません。
A2-70保障のボルト・ナットには「A2-70」という刻印が付きます。
ちなみにナベ小ねじにもA2-70保障品があり、一般品と区別ができるように頭部に2つ小さなくぼみがあります。
弊社ではA2-70保障の小ねじ類も数多く取り扱いしております。
関連LINK
関連LINK | ||
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一般的な材質 | ||
鋼 |
ステンレス |
黄銅(真鍮) |
アルミニウム |
マグネシウム |
プラスチック |
チタン |
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特殊な材質 | ||
【高強度材質】 | ||
ボルト用SNB材 |
超々ジュラルミン |
SUS304CUN
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A2-70六角ボルト |
A2-70六角ボルト |
機械構造用合金鋼 |
【高耐食材質】 | ||
マリンステンレスMS-270 |
チタンを上回る材質シリーズ |
SUS329J4L |
ハステロイ |
SUS316.SUS316L |
|
【耐熱材質】 | ||
SUS310S耐熱材
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インコネル (Inconel®) |
ボルト用SNB材 |
【材料規格の指定】 |
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JIS G 4303 SUS304 鋼材指定 |