代表的なねじ

  • 小ねじ
  • ボルト (六角ボルト、中ボルト(半ねじ)、押しボルト(全ねじ))
  • ナット
  • タッピング
  • 止めねじ
  • 木ねじ
  • ドリルビス
  • すりわり

ねじには、いろいろな種類や形状のものがありますが、それらはカタログで実際に見ていただくこととして最初に代表的なものをいくつか紹介します。

主に締結を目的としたねじをおおまかに大別すると

になります。

●小ねじ

小ねじは、頭を持つ比較的軸系の小さい締結向けねじです。
ドライバー(ねじ回し)を利用して締め付けることを前提としています。
なべ頭がよく利用されますが、他に皿頭や丸皿頭、トラス頭、バインド頭、六角アプセット頭などがあります。

 


●ボルト

ボルト(Bolt)はナットと組んで使用する雄ねじを持った品物の総称ですが、
普通は六角形の頭を持った六角ボルト(トリーマー)を簡単にボルトと呼んでいます。

締付けたい部品に開けられた穴にボルトを通し、反対側からナットで締め付けます。ちなみに、六角穴付きボルトなどは、小ねじと同じように部品に切られた眼ねじに直接締めこんでいきます。

また、頭の形もバラエティーに富んでいます。
・工具を使わずに手でしめられる【蝶ボルト】
・リング状の頭を持つ【アイボルト】  etc

※普通に利用するボルトや小ねじはねじ長さの短いものが多いので、ねじ山は首下から先端までありますが、
ねじ長さが長くなると首下部分にねじのない部分を設けます。この中ボルトを半ねじ品と呼んだりするのですが、半ねじといっても ねじ長さの半分までねじ山があるわけではなくて 太さと長さ、製品により規格で目安決まっています。
サイズや長さ、メーカーにより多少の違いはありますが、おおよそ2.5d(径の2.5倍)ほど有効ねじ長さがあるとみてよいと思います。

【アプセットとトリーマー】

六角アプセットや六角ボルト(トリーマー)は六角形をした頭を有しています。アプセットでは、ねじの頭を冷間圧造で成型したときに六角形も出来上がります。各角はRを持ち滑らかです。六角アプセットは比較的小さなサイズのみになります。六角ボルト(トリーマー)では、頭を成型した後に六角形の穴の開いたダイスで頭部を抜きます。そのため六角ボルト(トリーマー)は角が鋭角にスッキリとしています。一般に六角ボルトといえばトリーマーのことを指します。

●ナット

ナット(Nut)も六角形をしたものが一般的です。
ナットは雌ねじになっていて、ボルトやビスとセットで使用するネジの一種です。
ホーマー、ホーマーナットと呼ぶ 場合がありますが これは冷間圧造処理で製作したナットのことで、一般に現在のナットは ほとんどが このホーマーナットということになります。

●タッピング

タッピンねじは、雌ねじがない場所でも自分で塗材にねじ立てしながらねじ込むことができるネジです。
鉄、樹脂など様々な材料に対して使用可能です。

下穴さえあけておけばよいので、作業工程を減らすことができ作業性が良いという特徴があります。ただ自分自身でねじ立てするため緩みにくい反面、取り外しが多い場所には向いていません。

 

●止めねじ

止めねじはねじの先端を相手の部材に押し付けて、機械部品間を止めるねじです。
先端に「くぼみ先」「とがり先」「平先」などがあります。

イモねじと呼ばれることも多く、六角穴付き止めねじには、ホーローセットという呼び方もあります。

 

●木ねじ

木材に対して使うねじ。小ねじやボルトに対してねじ山の間隔が広く、雌ねじねじがない場所でも、下穴さえあけておけば、もぐりこんでいきます。締付ける尾木材の中に入っていくので力加減にはご注意を
全長の2/3程度位がねじ部になっています。中間に挟み込んだ材料にねじ山がかからないので、密着して締付力が強まるほかもどり止めやガタつきを防止するとされています。

樹脂や金属にも使えるタッピンねじで木ねじの代用をすることは可能ですが、その逆はできません。


●ドリルねじ

ドリルねじは下穴をあけ、タップを立て、締め付けるまでをこなすことができるので下穴が必要ありません。
螺子先のドリル部分が特徴的ですが、ねじ部はタッピンねじと同じような形状になっています。
石膏ボードを止められるものや、防水パッキンを持っているものもあります。
昔はセルフドリリングねじとも呼ばれていました。

薄い鋼板から厚いものでは9mm程度の厚さを打ち抜けるものまであります。
ナベや六角、トラスなど頭部の形状も様々です。

●すりわり

ねじの頭部にマイナスのすりわり加工が施されたもの。

大昔のねじは切削で製作されていましたので、工具との接点は「すりわり」でした。 よってすりわりのネジが普及していました。

現在のねじは、冷間圧造という金属を押して形を作る塑性変化を利用したものが多く、締めやすいリセス穴(十字穴等)が成型されるようになりました。


「すりわり」は専用のすりわり機械で削り加工されています。
ばり除去装置付もありますが完全とは言えないのが残念です。現在中国などで製作しているすりわり付小ネジは、「すりわり」も冷間圧造で作り込むため、「ダレ」て全体にRや抜けテーパーがあるために 締め付ける際には、工具が滑りやすい「すりわり」になっているようです。

すりわり小ねじもすりわり溝を確実に入れたものは高い締め付けトルクの伝達が期待できます。

 

●ねじの豆知識

●ねじの冷間圧造


金属には内部に方向(フロー)があります。繊維と同じだと考えるとわかりやすいかも知れません。切削では これが途切れることが多いですが、冷間圧造ではギュッと押しつぶされて残り、更に強度UPします。しかし、これにも限度はあり つぶす範囲が大きすぎてこのフローを切ってしまうと強度は下がってしまいます。
また、各部の角をにRを作ることにより、応力が隅に集中することが防げます。

●ねじの製図

製図でねじを表す場合、谷底や不完全ねじ部を細い実線で表します。
また、見えないところのねじは破線で表します。

・標準ねじ以外を利用した、ねじ部品の長さに指定がある場合
 雄ねじではねじ先端の不完全ねじ部を含んだ有効ねじ長さを指示し
 雌ねじではねじ奥の不完全ねじ部を除いた有効ねじ長さを指定します。

不完全ねじ部はねじの切はじめや切り上げ(切り終わり)の部分です。
結合部を表す図面では雄ねじの実線が優先され、八ッチング(斜線)する場合は雌ねじの谷径の線までします。
埋め込みボルトの場合は完全ねじ部までねじ込まれたように表示します。